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上機嫌でいこう。

本とか、音楽とか。本は新書を読むことが多く、音楽はクラシックやサウンドトラックを中心に。映画やDVDも好きで見ています。

なんちゃって大学論(2)

教育 暴論・耕論

◆今回は「何となく、大学論」改め、「なんちゃって大学論」2回目。

◆いくら教育社会学を志していたとはいえ、30年前の素朴な実感から論を進めるわけにはいかない。最近の動向にも目配りしなければ。

◆最近読み聞きしている話題としては、次の3題くらいが思いつく。

・学力の低下

少子化による定員割れと大学淘汰

・人文系廃止論議と教養の行方

◆こうした、大学において見られる「教育の危機」を「教育再生」のチャンスに転換していけるかは、独り大学という制度の問題ではなかろう。文明の危機として広くコミットすることが必要ではないかと考える。

◆その際注意しなければならないのは、大学が「非効率」だからといって効率原理、市場原理をいたずらに持ち込むのを排するということだろう。今次の問題は、教育と基本的に相容れない市場原理が持ち込まれたことに起因しているからである。

◆先の3題は、いずれもこの市場原理をもちこんだこと、つまりは新自由主義の名における改革の「成果」である。

◆1991年に大学の設置基準が緩和された。それで大学の数が増えた。そこで、それまでなら進学してこなかったような層までが、大学に進学するようになった。

◆1990年に372だった私立大学が、2012年には605になっている。ほぼ同時期の進学率は、25.5%から50.2%に増加している。

◆このことは、学生の学力低下として顕れたと言われている。初等・中等教育での問題が先送りされた。

◆水ぶくれした大学の進学枠だが、少子化という分母の縮小によって、定員を確保できない状況が現出している。学生数の減は、即授業料収入減であり、存続が危ぶまれる大学もこれから出てくると予想されている。大学淘汰の時代と言われる由縁である。

◆さらに、不況下にあって「即戦力を求める」との名目で企業内教育を放棄した産業界から、「実学を」という声があがる。

◆研究の成果として回収が見込める分野にしか研究費をつけないという方向も出てきて、その点で効率の悪い人文系の学科を廃止しようという声すらあがった。

◆このような危機に直面している大学であるが、なんとかそれを乗り切ってもらいたいと切望している。

◆それは、今後ますます役割を肥大化させていく国家と市場システムに対して、むき出しで放り出された個人を守り、結束させる「中間団体」としての大学に期待をしたいと思っているからである。

◆いわば、人間の共同性を回復させる拠点として、大学は機能しうるからである。

◆したがって、大学の問題は、直接関わっている人たちだけの問題ではなくして、鋭く現代的かつ文明的な問題なのである。今後も、大学をめぐる状況には注視していきたいと考えている。

 

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